映画『ミスト』の感想
注)ネタバレしかない。
映画『ミスト』を観た。
あらすじとしては、こんな感じである。
まず主人公は、息子と妻がいる男。
ある日息子と一緒に近所のスーパーへ行くと、外にもくもく霧が立ち込める。
その霧の中には得体の知れない怪物がいて、スーパーの中で籠城する人と怪物との防衛戦というわけである。
パニックホラーっぽい感じの展開が色々あってラストに行くのだが、このラストが腑に落ちなかった。
というのも私はハピエン厨であり、最終的には主人公以外全員死んだから。
しかもその死に方というのが何とも言えないのだ。
主人公と息子(ショタ)と老婆と老爺と女の人、の5人が車で霧を抜け出そうとするのだが、ガソリンが無くなる。
ここで終わりかと思われたその時、主人公の手元には銃と4発の弾丸が。
そして主人公は、息子(ショタ)諸共残りの4人を射殺し、自らも死のうと車外に出て霧の中で怪物が来るのを待つ。
で、そこに現れたのは軍隊の助けだ。
つまりもう少し待てば助けが来たというところで、主人公だけが生き残ってしまったという。
何とも腑に落ちないバッドエンド(だと私は思う)。
そもそも『幼児とおばあちゃんは死なない』というルールを何となく確立させていたので、幼児とおばあちゃんも死ぬとは思わなかった。鬱。
というわけで『悪の教典』を観た。
こっちも登場人物のほとんどが死ぬストーリーではあるが、死に方が爽快なので後味が良い(と私は思う)。
主人公のハスミンはサイコパスだが高校教師。
そんな彼が夜の校舎で、生徒達を軽快な音楽と共に猟銃でバカスカ撃ち殺していく様は爽快としか言いようがない。
明るい音楽に、夜の校舎にきらめく電飾、飛び散る鮮血!
それらがよりハスミンの異常性をかき立てて、エンタメ感満載なのだ。
あと殺されている方も楽しそうなのである。(もちろん画面上では泣き叫んで助けを乞うている)
リズミカルに機械的に、淡々とベルトコンベアの上のパンを裏返すように銃をぶっ放していくハスミンも爽快。
混乱して逃げ惑い呆気なく殺される生徒、試行錯誤と抵抗の末恨み言を吐きながら殺される生徒、信頼しきっていたハスミンに跪きひたすら命乞いする生徒。
みんな違ってみんな良い。
エンディングでもポップな音楽が流れているのだが、血塗れの生徒達が起き上がってみんなでダンスをする流れでも良いと思った。
それくらい愉快。
もちろん『ミスト』を批判するつもりはサラサラない。
怪物のデザインもカッコ良かったし、宗教家のおばさんは良いキャラだった。
人間が神を信じていく過程と宗教が完成していく様子が分かりやすく描かれていて、あれは宗教学の授業で観ても楽しいのではと思う。
ショタとおばあちゃんが死んだから許せないだけで。ええ。
というわけで『ミスト』の腑に落ちない感を中和させる『悪の教典』の感想であった。